いかにして退職したか?
退職を決意した時
「お前何やってんだよ~やる気あんのか?」
っと上司から相変わらずの罵声を浴び続けていた。
特に月曜日の朝が忙しく、誰もかれも皆忙しくしており、ひたすら蟻のように動きまわっていた。
特に自分は一番下っ端のため、あの広い空港の敷地内を右や左へと、歩いていると間に合わない為、走り回っていた。
そんな状況が2年が過ぎ、3年目に入り、「この状況がこれからずっと続くのか・・」
と気が重い中、惰性で仕事をし続けていた。
2年働いて仕事も覚え、時間を意識しながら効率的に仕事が出来るようになっていたので、すでに上司から仕事を教わる必要もなく、逆に上司の仕事のフォローをすることが多くなっていた。
上司に気に入られたいという気持ちはあまり無かったが、自分は仕事が出来るところを認めてもらいたい気持ちは多少なりともあった。
それにも関わらず、相変わらずの罵声を浴びることが多く、気持ちとしては
「何で、俺上司のためにそこまで手伝わなきゃいけないのか?」
と思ってはいたが、それが仕事だということで自分に言い聞かせていた。
そんな中、この上司の下でこのまま働いたとしても、何か得るものがあるのか?
と真剣に考えるようになっていった。
また上司から怒られる度に、最初は確かに自分がまだ仕事が出来ない面もあり、そこを注意されたのであれば自分も納得はしていた。
特に仕事のミスもしていないし、上司の考えに従っていたにも関わらず、注意されるのもだんだん腹立たしくなっていった。
思うに、上司自身のイライラ(ストレス)を発散させたいがために、ちょっとした細かい点で注意というのを口実にして罵声を浴びせているような感じがしてきた。
というのも何かうまくいかないと「チキショー」とか「くそ~」とかが口癖になっていたので・・
いくらうまくいかないからと言って、部下に八つ当たりしてもいいのか・・
自分自身をマネジメントできない人が人をマネジメントすることなんてできるのか・・
それはある意味上司の甘えだと思う。
仕事は2年もやると、後はその同じことの繰り返しとなる。
それが上の立場になると今度は下を育てながら、課全体のマネジメント等もしつつ、更に上からの指示や要求があったりと上と下の板挟みになっていく。
今の上司は、仕事自体の経験はあるかとは思うが、マネジメント力が少し乏しい、特に忙しくなると尚更それが顕著になっているような気がした。
自分は仕事をしながら自己啓発として通関士の勉強もして合格することもできた。
仕事の流れも掴んだし、十分他でやっていく経験も自信もある。
もっと大きな仕事がしたい・・・ヨシッ!
退職することを会社に伝えた時
いざ辞めると考えていくなかで、「なんて言って辞めたらいいのか?」
が、今度はそこで悩みました。
まさか「上司が嫌いだから」なんて言えないし・・ただ原因はそれが一番大きいが・・
「仕事がつまらなくなったから」」もさすがに言えないし、それはあまり当てはまらない。
自分の本心としては、「もっと大きな仕事がしたい」という気持ちがほとんどであり、
今の仕事ではそれが叶わないという気持ちはあった。
本心を言うべきか、それとも何かほかに良い別の理由でも考えるか・・
正直ずっと考えていて、かれこれ2か月近く考えていて時が過ぎてしまった。
これは、一時の迷いが生じた一時的な病にかかっていただけだったのか・・・
いや、そうではなく、自分が今後どうしていきたいかを真剣に考えていくうちに、やっと決心がついた。
まずは直属の上司ではなく、所長に今の気持ちを伝えることにし、仕事が終わったあと、
「実は、会社を辞めようと思っています。」
「どうした? なんかあったか?」
「はい、実はもっと貿易に関する幅広い仕事がしたいと思っています」
「幅広い?例えば?」
「はい、実は元々商社での勤務を希望しておりました、この2年間ここで働かせていただき、業界の状況も理解しております、更に通関という一部の業務だけではなく、全体を把握できるような仕事をしていきたいと考えております。」
「う~ん、もう決めたのか?」
「はい、そのつもりでいます」
「分かった・・」
退職日までのカウントダウン
所長に退職の意思を告げた後、気持ちとしては、「本当にこれでよかったのか?」
「まだ次の仕事も決まっていないのに、本当に次の仕事が決まるのか?」
という後悔の気持ちが大きかった。
ただもう今更引き下がるわけにもいかず、これでよかったと自分に言い聞かせた。
退職の意思を告げた翌日もいつもと変わりなく、普段通り仕事をしていた。
相変わらず上司からの罵声はいつもと同じだったが・・
その後仕事をし続けていたが、特に周りから何も言われることもなく・・
とうとう退職1週間前に直属の上司から声をかけられた。
「会社辞めるって聞いたけど・・。とりあえず今受け持っている顧客の状況整理してまとめておいてくれるかな?別の人に引き継ぎするから」
あまりにもあっさりと言われ、突然の事で少しオドオドしながら申し訳なさそうに頭を下げていた。
いざ退職へ
退職日の朝、会社に行くのが少し憂鬱で少し怖い気持ちもあった。
上司に最後なんて言われるか?親しい人には以前から話をしていたが、おそらくほとんどの人が辞めることは知らないはずだと思っていた。
会社に着いても、特にいつもと変わらず、相変わらずいつもと同じ忙しくただ淡々と仕事をしていた。
やっと一日の仕事が終わり、所長から声をかけられ、みんなの前で
「ちょっと皆いいかな。今日退職されるとのことなので一言挨拶してもらえるかな」
いきなりのことだったので
「本日付けで退職させていただくことになりました。皆様お世話になりました。」
と、恥ずかしい気持ちと緊張とで声が上ずってしまい、うまく話すことが出来なかった。
帰る際、直属の上司から一言・・・
「お疲れ様、今までありがとね」
【考察】退職してみて思ったこと
退職した帰り道、頭の中でいろいろな事が走馬灯のように駆け巡った。
「ほんとにこれでよかったのか」という気持ちも多少はあったが、
明日から上司からの罵声を受けなくなる、ある意味ホッとした気持ちもあった。
最初は辛い気持ちの方が大きかったが、だんだん苛立ちというかイライラするような気持ちの方が大きくなっていたので・・
ただ、もしあの上司からの度重なる罵声が無かったとしたら、辞めるという決断をしていたか・・
となると何とも言えなかった。
ある意味上司からの罵声がきっかけで、更にもっと大きな仕事がしたいという心の奥底にあったものが湧いて出てきたような気がしている。
結局、その会社にいる以上、今の上司が自分の2,3年後の自分になるわけであり・・ただ自分は上司以上になるつもりではあったが・・
おそらく、多少なりとも仕事に対する満足感というか「やりがい」、さらに今の上司を2,3年後の自分に重ね合わせて総合的に考えた結果、このままずっとこの会社でこの仕事をしていけるのか、そこまでその仕事をやり続けていく気持ちが無かったのかもしれない・・・


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